変わらないもの
予備校講師になると決意した時から、変わらないものがあります。それは「教えることが好きだ」ということです。
大学1年生の2学期にクラス授業を初めて受け持ち、そのクラスの中にいた高校1年生の男の子との出会いがそれに気づいたきっかけでした。定期テストの成績がかんばしくなく、お母様と塾に相談をしに来たことがありました。本人は泣いていました。なんとしても成績をあげようと、すべての長文に構造をふり和訳を作り、毎日音読をさせました。文法はすべて教え、塾に来るたびに確認をしました。テストの結果は本人よりも自分の方がドキドキしてたと言えるくらい緊張しましたが、40点→83点まで上がりました。その時の生徒のうれしそうな顔はいまだに覚えています。自分が生きてきた中で人の役に立ったと思えた瞬間でもありました。
その後私は様々な塾や予備校を渡り歩いていきました。会社ごとに全然特色が違います。体育会系の塾もあれば講義を中心にするところ、黒板のところ、ホワイトボードのところ、1クラスが50人のところもあれば、5人一クラスのところなど様々な経験を積みました。
環境や雰囲気がまるで違うことに若い頃は、「合わせなきゃ」と思いながら、「不自然な」授業をしていたと思います。どの会社であっても変わらないことは「生徒に授業をする」ということです。そして私が「教えることが好きだ」ということです。それに気づいた私は、どの予備校や塾で授業をする時も授業に集中することができ、生徒からの評価も高くなりました。「俺は日本一の先生にはなれないかもしれないが、生徒にとっては受験の時には最高の先生だったと思われるように頑張ろう」と思って指導していました。
今私は塾長という立場にいます。この塾が栄えようと衰退しようと変わらない、変える気もない。人から褒められようとけなされようと変わらないもの。そして時間の経過によっても変わらないものがやがて「矜持」として心に刻まれるのだと思います。
